Home/思い出のありか ~ロータス・オデオン 訪問介護とターミナルケア~

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採用情報|社会福祉法人あかね

皆様こんにちは。
システム担当のまるです。

「家に帰りたい」

施設で介護に関わる職員は、この利用者様の言葉を数えきれないぐらい聞いていると思います。どんなに建物が立派で、職員が献身的な施設であっても、「我が家」に勝るものはないのではないでしょうか。

高齢者が自立した在宅生活を送るために、利用者様のご自宅に直接訪問して、入浴、排せつ、食事等の介助を行う「身体介護」や、調理、洗濯、掃除等の家事といった「生活援助」を行うサービスが「訪問介護(ホームヘルパー)」です。

ホームヘルパーは誰でも出来る訳ではなく、介護職員初任者研修や介護福祉士などの資格が必要になります。そのため、高齢者は自宅で専門的な知識や技術を学んだヘルパーから介護サービスを受けることが出来ます。

国としても2025年を目途に、重度な要介護状態となっても、住み慣れた家、地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、「地域包括ケアシステム」の実現を目指しています。

そこで今回は、出屋敷駅近くにある「ロータス・オデオン」の訪問介護(ホームヘルパー)について取材しました。

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訪問介護の流れ

オデオンヘルパーY田さんの訪問介護に同行させて頂きました。

1件目の利用者様は一人暮らしで、布団から起き上がることが難しく、耳が遠いので筆談が必要な方でした。とても元気な方で、「ヘルパーさんの仕事は大変だ」、「ヘルパーさんが来てくれてありがたい」と仰ってくれたり、「電気代を振り込まないとすぐに止められる」など、しきりと公共料金の支払いを心配されていました。(ご自身で振り込みに行けないため)

毎日、朝・夕にヘルパーが入ってお世話をしています。
介護の流れは以下の通りです。

①排泄介助
オムツの交換をします。

②清拭と着替え
ご自宅には風呂やトイレがなく(共用)、車椅子に座ることも難しいため、清拭を行い、服を着替えます。ご気分などについては、ホワイトボードで筆談します。
ご自宅の構造上、訪問入浴の利用も難しい(浴槽が入らない)そうです。

③洗濯と買い物、各種支払い
近くの商店街に行き、コインランドリーで洗濯をします。
その間に、オムツや食料品を購入し、水道代を支払います。
金銭の管理が難しくなってきており、後見人を探す必要があるかもしれないとのことでした。

④服薬と掃除
いったんご自宅に戻り、服薬と掃除をします。
ごみ捨てをどうしているのかお聞きすると、近所のボランティアの方が協力してくれているそうです。

ご自身の状態から、入院をおすすめしたそうなのですが、ご本人が頑なに拒否されたとのことでした。

⑤記録の記入
再度商店街に行き、洗濯物を回収して追加で発見された電気代を支払い、飲み物や食べ物を枕もとに置いて、利用者様の状態などの記録を書きます。これで終了です。

休む間もなく2件目のご自宅に向かいます。
私は普通の自転車で同行したのですが、電動自転車の偉大さを思い知りました。
科学の勝利ですね・・・

途中、営業で西宮まで行っていたというT本課長と遭遇しつつ、ご自宅に到着しました。
デイサービスからのご帰宅を待つY田さん。

デイサービスの送迎員と協力して車椅子を持ち上げ、帰宅された利用者様の着替え、オムツ交換、着床を行います。

Y田さんは喀痰吸引等研修3号(後述)を受講済みのため、痰吸引を行います。

その後記録を書き、2件目も終了しました。

Y田さんにお聞きしたところ、ヘルパーは「時間との闘い」で、多い時で1日8~10件ほど回るそうです。施設の場合、利用者様にある程度施設の生活ルールに合わせて頂くのですが、訪問介護の場合はご自宅に訪問するため、各利用者様の生活ルールに合わせる必要があり、そのルールを覚えるだけでも大変だと思いました。

サービス提供責任者(サ責)インタビュー

サービス提供責任者(サ責)である、M田さんにインタビューしました。

ーロータス・オデオン 訪問介護で力を入れていることはありますか?

【M田さん】オデオンでは、「ターミナルケア(終末期のケア)」に重点を置いています。利用者様とのコミュニケーションが一番大事で、信頼関係を構築することができれば、色々な話を聞かせてくれます。本人が言いにくい本音を聞けるようになれば、ご家族やケアマネの間に入って、その事を伝えて差し上げることもできます。

ターミナルケアでは、痰吸引の要望も多いのですが、オデオンのヘルパーは7名が喀痰吸引等研修(介護職が痰吸引するために必要な資格)の3号(特定の方のみ吸引できる)を受講済みで、私が1号(不特定多数の方の吸引も可)を受講しており、後は実地研修を残すのみです。

ー仕事で大変なことはありますか?

【M田さん】信頼関係を構築できたと思っていた利用者様が、ある日突然、認知症のため意思疎通が難しくなり、いきなり怒られたり、物を持って行ったと疑われたりして、その信頼関係が失われてしまう時です。

ーどんな時にやりがいを感じますか?

【M田さん】ターミナルケアでやりがいを感じます。終末期でも病院に行きたがらない方が多く、ご家族から家で看取りたいという相談をよく受けますが、やはり苦しんでいる姿は見たくないと仰ります。ご家族がしんどくならないようにサポートすることもヘルパーの仕事だと考えています。

ヘルパーは当事者と関わることが多いので、その方の変化を一番早く見つけられます。そこで、この方にはこんなサービスが必要だと思う、などケアマネに提案することもあります。この提案で少しでも状況がよくなると、よかったと思います。

本人の希望通り、ご自宅でお看取りが出来て、ご家族に感謝してもらえた時も嬉しいですね。

ー今期の目標を教えてください

【M田さん】若いヘルパーを増やしていきたいです。(平均年齢を下げたい)
50代、60代のヘルパー需要も多いのですが、やはり若い子がいるとパワーをもらえますし、色々なことに挑戦して何か新しいことができるかもしれないと考えています。

まとめ

以上、ロータス・オデオン 訪問介護のご紹介でした。

現在ロータス・オデオンがある場所には、以前、映画館があり、戦後、労働者の町として賑わっていた当時の出屋敷に娯楽と憩いの場を提供していました。

2007年にデイサービスセンターを開業する際、当時の賑わいを今一度という願いを込め、ギリシャ語で映画館・劇場を意味する「オデオン」と名付けたそうです。

ショートで勤務していた時、この映画館を経営されていた方から、当時の話を聞いたことがありました。「オデオン」という名前と共に、当時の思い出も引き継がれていくのだと思います。

介護現場で働いている時、認知症のため記憶力や理解力が低下し、コミュニケーションが難しくなってしまった方でも、夕方になると、「ごはんを作らなければ」、「家族が待っている」と、家に帰ろうとされる姿を何度も見てきました。

その方の「人生の思い出」そのものが、「我が家」には詰まっているのかもしれません。

施設介護の必要性は言うまでもありませんが、少しでも多くの方が、住み慣れた「我が家」で人生の最後を迎えられるように、地域包括ケアシステムのような仕組みづくりの必要性と共に、訪問介護(ホームヘルパー)の重要性を痛感しました。

私もシステム担当として、ヘルパーの皆さんを応援出来るよう頑張りたいと思います。

ロータス・オデオン 訪問介護の皆様、お忙しいなか取材に協力して頂き、本当にありがとうございました!

 

ヴィラ杢園

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